隅田川のほとり・・・豊島PartU「六義園逍遥」

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zoom RSS 六義園の夕日岡 

<<   作成日時 : 2017/05/19 21:42   >>

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12. 夕日岡 (ゆふひのをか)

左に、「朝陽岩」あるに対して、右には、此(この)岡なり。
「遊芸門」よりのさし入(いり)なれば、此岡に入(い)る人は、さし入(いる)より、はや風景の面白さに、日をくらすべきこゝちす。
 又、向(むかひ)の方(かた)には、「詠哥石」「片男波」「仙禽橋」「芦辺の亭」、皆、赤人にこゝろよせて、はたばりひろく侍(はべ)れば、人丸の伝授をふくみて、見山石のつなぎにもと。

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夕日岡(12.ゆふひのをか)は、六義園八十八境の一つ。「遊藝門」からのさし入り(入って直ぐの所)で、西から射し入る夕陽を正面から浴びる位置にあります。赤人に因む命名で、この園に遊ぶと、あっという間に時間が経って夕方になったというのが、「夕日岡」の由来です。なお、この境は後に初入岡(はつしおのをか)と呼称が変更されています。

【夕日岡から初入岡へ:年録本と巻子本】
元禄十五年七月五日、駒込の山里は完成しました。そして、元禄十五年(1702)十月廿日、吉保はそれを「六義園」と命名。八十八境の選定もして、「楽只堂年録」に「六義園記」を録しました。これを「年録本」といいます。
その後、柳沢吉保は八十八境制定後も再考を重ね、境地の取り消し・統合・呼称変更・表記変更・追加などを行ない、自筆による「六義園記」を作成しています。これは「巻子本」と呼ばれ、「真名序」、「勅撰六義園十二境」、「勅撰六義園八景」、「六義園八十八境」の四部からなっています。
巻子本の真名序末尾には「宝永改元甲申(1704)鑞月二十八日」の日付がありますが、四部が編纂・清書されたのは宝永五年(1708)三月以降と考えられます。その理由は二つあり一つは、真名序に記載されている「勅撰六義園十二境」・「勅撰六義園八景」は、宝永三年(1706)十月に霊元院から賜ったものであること。もう一つの理由は、「六義園八十八境」には「放鶴亭」が境として加えられていますが、西湖悦峯子の勧めによると記載されています。西湖悦峯子は宝永5年(1708)3月に江戸下向し、六義園に長期滞在しています。そのおりに妹背山に放鶴亭の設営を勧めたものと推測されます。
宮川先生の文献(資料1)を見ると、八十八境は百二境とふえて、二番目の境が「初入岡」となっています。園を巡る冒頭にふさわしい命名に変えたのではないかとの記述があります。

【勅撰十二境八景】
柳沢吉保は、狩野派の絵師に庭園を描かせて霊元上皇に送り上覧を仰ぎました。宝永三年(1706)、霊元上皇は絵図から十二境と八景を勅撰し、当時の歌壇の公家に詠ませた二十首の歌を添えて吉保にくだされました。

.染そはむ色はまたるヽをく露にまたはつしほの岡のもみち葉  中書令邦永

上掲の和歌は、勅撰十二境の一つ「初入岡」を中書令邦永が詠んだ和歌です。
大意:色づき加わる美しい色が待たれることよ。置く露にまだ色づき始めたばかりの初入り岡のもみぢ葉は。(松蔭日記 正親町町子作 増淵勝一訳より)
伏見宮邦永親王(ふしみのみや くにながしんのう、1676年〜 1726年)は、江戸時代中期の皇族。伏見宮第14代当主。妃は霊元天皇の第五皇女。
中書令(ちゅうしょれい)は中国の漢代から明代にかけて存在した官職名。日本では、天皇の(私的な部分の)秘書長。→中務省(なかつかさしょう)の長官、中務卿(なかつかさきょう)。

◆六義園之図T
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 川崎千虎写 出版年月日明治22  「国立国会図書館デジタルコレクション」からのトリミングデータ。
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写真@庭門右のイロハモミジ  撮影日:2012/11/15、歌にあるように色づき始めたところ。

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写真A庭門右のイロハモミジとモッコク撮影日:2012/11/24、見事に紅葉しています。

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写真B庭門右のイロハモミジ  撮影日:2012/12/02、内庭のシダレザクラ方面から。落葉が始まっています。

【夕日岡(初入岡)はどこにあるの? 】
鉄砲垣の庭門の右に「新脩六義園碑」があります。その碑石には、夕日岡は復旧できなかったことが刻まれていますが、@六義園平面図(東京都公園協会01-05-79-0263)と六義園図(柳沢文庫収蔵品図録)を重ね合わせてみると、内庭のシダレザクラの付近と推定されます。

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写真C夕日岡の推定場所

【資料】
1. 宮川葉子「六義園ーその初期の姿をめぐって」(『国際経営・文化研究』第八巻第1号、2003 三十四〜三十九

→ 六義園の夕日岡その2

写真(写真の上をクリックすると大きくなります)
撮影場所:六義園(東京都文京区本駒込6-16-3)
撮影機材等:Canon EOS Kiss X2、18-50mmF2.8
掲載日:2013年1月6日
再掲載・一部修正:2017年(平成29)5月19日(金) 晴

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