隅田川のほとり・・・豊島PartU「六義園逍遥」

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zoom RSS 六義園の雲香梅

<<   作成日時 : 2017/02/25 17:21   >>

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69 雲香梅 (うんかうばい)
定家
谷風のふき上(あげ)にたてる梅の花
天津(あまつ)そらなる雲や匂はん

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 雲香梅は、六義園八十八境の一つ。建仁元年(1201年)、後鳥羽上皇が30人の歌人に詠進させた百首歌を歌合形式にした『千五百番歌合』に載る藤原定家が詠んだ歌から、想を得て造られた境です。
『千五百番歌合』一六〇、右、定家朝臣
 たにかぜのふきあげにさけるむめの花あまつ空なる雲やにほはむ
◇訳:谷風が吹き上げる吹上の浜に立つ梅の花の香りが空まで吹かれていって、大空の雲までも梅の香りが染みついて香りを漂わせることだろう。(六義園記注解を参考に)
◇「咲ける」が「立てる」に変えられている。「71 浪華石(らうくわせき)」にある菅家御哥の「吹上にたてる白菊」を意識しての改作か。
◇縁語:「吹上」の「吹」が、「風」の縁語。
◇あま‐つ‐そら【天つ空】:1 大空。天上の世界。また、手の届かない遠い所。
  「つ」は「の」の意の<格助詞>→天の。天空の。 (デジタル大辞泉)
◇なる:《連語》…にある。…にいる。 「春日(かすが)―三笠(みかさ)の山」
◇にほはむ:「匂ふ」の未然形「匂は」+推量の助動詞「む(ん)」〜ダロウ
・他動詞ハ行四段活用 活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}→【覚え】

【千五百番歌合―史上空前の規模】
 鎌倉時代前期の歌合。建仁1年 (1201年) 後鳥羽上皇が詠進させた百首歌を歌合形式にしたもの。歌合としての成立は同3年(1203年)春頃。
 各歌人が詠進した百首歌を番えて歌合にするのは、建久4〜5年(1193〜1194年)頃成立した九条家主催の『六百番歌合』が最初でした。後鳥羽院かそれをはるかに超える規模で行った『千五百番歌合』は、歌合史上空前絶後の規模の大きさを誇ります。

【藤原 定家】
 藤原 定家(ふじわらのさだいえ、1162〜1241)は、平安時代末期から鎌倉時代初期という激動期を生き、御子左家の歌道における支配的地位を確立し、日本の代表的な歌道の宗匠として永く仰がれてきた歌人です。歌論書に『毎月抄』『近代秀歌』『詠歌大概』があり、本歌取りなどの技法や心と詞との関わりを論じています。
本歌取り:→ 37渡月橋
 定家は本歌取りについて「ある特定の古歌の表現をふまえたことを読者に明示し、なおかつ新しさが感じ取られるように歌を詠むこと」と述べています。下に一首記載しますが、詳しくは『和歌とは何か』渡部泰明著 岩波新書をご覧ください。
駒とめて袖うちはらふ陰(かげ)もなし佐野のわたりの雪の夕暮
(新古今集・冬・六七一・藤原定家)
私の上に降る雪を、馬を止め袖で払い落そうにも物陰すらない。ここは佐野の渡し 場、雪の中の夕暮れ。
本歌:苦しくも降り来る雨か三輪(みわ)の崎佐野の渡りに家もあらなくに
(万葉集・巻三・二六五・長忌寸意𠮷麻呂(ながのいみきおきまろ))
うんざりだな、このどしゃ降りには。ここ三輪の崎の佐野の渡し場には、家もないというのに。

明月記:
 定家は、克明な日記『明月記』(めいげつき)を残しています。鎌倉時代の治承(じしょう / ちしょう)4年(1180年)から嘉禎(かてい)元年(1235年)までの56年間にわたり記録した日記です。公事故実や家職家学の知識だけでなく、超新星爆発(1006年:おおかみ座、1054年:かに星雲、1181年:SN 1181)の歴史・科学的記録書としても価値があります。
 為家から公事に熱心であった庶子・冷泉為相に譲られ、定家自筆原本の大部分は冷泉家時雨亭文庫に残り、国宝に指定されています。(ウィキペディアより抜粋)
 定家の筆跡はさして名筆ともいいがたいが、歌人としての定家の地位が不動となることもあいまって、近世に入ってからは小堀遠州(1579−1647)や松平不昧(1751−1818)のような茶人の尊崇をうけて、その書風はいわゆる「定家流」としてもてはやされました。(e國寶 /国立博物館所蔵・国宝・重要文化財―紙本墨書1幅 B-1394 ―より抜粋)

【吹上浜の紅梅】
 『雲香梅』は現在ありませんが、現存する『吹上松』の左後ろにあったことが『六義園図』よりわかります。写真は、『吹上峯』の裾野にある紅梅です。

画像
図:雲香梅 六義園図より

画像
写真@ 吹上浜の紅梅 2017(H29)/02./08

【覚え】
にほ・ふ 【匂ふ】 (Weblio古語辞典/学研全訳古語辞典 より抜粋)
[一]自動詞ハ行四段活用 活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}
@美しく咲いている。美しく映える。
出典万葉集 四一三九
「春の苑(その)紅(くれなゐ)にほふ桃の花下照(したで)る道に出(い)で立つ乙女(をとめ)」
A美しく染まる。(草木などの色に)染まる。
出典万葉集 一六九四
「細領巾(たくひれ)の(=枕詞(まくらことば))鷺坂山(さぎさかやま)の白躑躅(しらつつじ)われににほはね妹(いも)に示さむ」
B快く香る。香が漂う。
出典古今集 春上
「人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香(か)ににほひける」
C美しさがあふれている。美しさが輝いている。
出典万葉集 二一
「紫草(むらさき)のにほへる妹(いも)を憎くあらば人妻ゆゑに我恋ひめやも」
D恩を受ける。おかげをこうむる。
出典源氏物語 真木柱
「ほとりまでもにほふためしこそあれ」
[訳] その縁のある人々までおかげをこうむる例もあるのだ。
[二]他動詞ハ行四段活用 活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}
香りを漂わせる。香らせる。
出典古今集 冬
「花の色は雪に交じりて見えずとも香をだににほへ人の知るべく」
[三]他動詞ハ行下二段活用 活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}
染める。色づける。
出典万葉集 三八〇一
「住吉(すみのえ)の岸野の榛(はり)ににほふれどにほはぬ我やにほひて居(を)らむ」

写真(写真の上をクリックすると大きくなります)
撮影場所:六義園(東京都文京区本駒込6-16-3)
撮影機材等:Canon EOS Kiss X2、18−50mmF2.8
掲載日:2017年(平成29)2月25日(土)晴

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